素人と玄人の境界線
学生の頃、初めてワープロで詩を書いたとき、
その「書き易さ」に驚いた。ノートに書くのと全然違う
もののように見えた。
そしてそれまでは気にもしなかった「レイアウト」を
詩表現の一つの要素として加えるようになった。
気付いたのはだいぶ経ってからだが、素人が「活字」を
使ってものを書くと「その気」に。勘違いするということを。
体裁がきれいなために、なんだか立派なものを書いた気に
なってしまうということを。
だから会社で企画書を書き始めたとき、先輩社員のほうが
「書いている意味が分かりません」みたいな文章を
平気で企画書に書いているのを見て、勘違いはどうも
自分にだけ当てはまることじゃないなと思った。
商品企画の部署に居たとき、私は主にメルマガやパンフレット、
ポータルサイトの運用に携わっていたが、社員が書いてくる
文章のひどさと言ったら!
彼らが読書量が足りないとか、作文能力が無いとかじゃないと
思う。活字の魔力。
話題の「恋空」。読んでないので触れる資格はないが、よく
「文章が下手」「真似して携帯小説を書く子たちの小説は
読めたものじゃない」と聞く。
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携帯小説だけじゃなくBlogもそうだと思うけど、今は素人が
なんの苦労もせずに文章を公開することができる。
悪いとは言わないけど。
だけど「活字の魔力」に頼って、全然ダメダメな物も、ある意味
アリになっちゃてるんだな、と危機感は覚える。
偉そうに言うが、この前までここで書いてた「桜」はぶっちゃけ
推敲ゼロ。書きっぱなし。文学賞に出すとしたら、ああは気軽に
書けはしなかった。
だからこそじゃないけど、玄人の書き方はちゃんと見たいし、
素人にしても推敲を重ねた文章というのは行間を読みたい。
素人が推敲もしないような文章が本になって売られてるとしたら
イヤだな。
追記
正直に言うと「恋空」私は読まないと思います。文章がどう、
じゃなく、レヴューや友人に聞く限り、内容が私には不愉快な
もののようです。少なくとも前半は、私の高校時代の友人が
経験したものそのもののようで、当時の彼女の荒んだ?生活
が思い出されます。(もちろん今では彼女も立ち直ってますが)
梅田さんが以前読んでいらっしゃったのを思い出しました。
「携帯小説、アメリカには電波届かないのに」のような
コメントをされていたと思うのですが、やはり
苦しまれたようです。笑 ←笑っていいのか?
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20070525