新しい春

梅田望夫様。お呼びたてしてすみません。
まさか、こんなに早くこのような報告をすることになるとは
思ってもいませんでした。


私は日本のTOP50に入る大企業の、ITを専門とする子会社に
勤めています。夏、理系高卒の男性がこのIT子会社に本社
から異動してきました。
本社では3交代の、機械さえ回していればいいという
3K体育会系職場に居た男性です。縁あって同じ部署に
配属されました。


最初はまったく管理されない、冷酷なほど成果主義の社風に
戸惑っていたようですが、何かを自分で始めればそれが
認められるということに、元から持っていた向上心がマッチ
したようで、仕事にも前向き、まじめでした。
しかし夏の時点では「自分でやりたいことが分からない」と
言っていたのです。


IT系の会社に配属された以上、ネットを知らないのは困る、と
彼に「初級システムアドミニストレーター」の知識は最低限
身につけるように、と勉強させていました。
もともと理系だし、勉強好き(ちなみに偏差値も高かったようで)
会社からお金をもらって勉強できるなんて♪と喜んでいました。


ウェブ時代をゆく」を彼に薦めました。
「あなたのために書かれた本だよ。猛毒持ってるから気を付けてね」
そう言うと即日買いに行き、「面白い!」と読んでいました。


年明け早々、私は驚かされました。
彼が会社を辞めると言うのです。病気なのかと慌てました。
しかし、彼が選んだ道は
「大学に行きます。この春は間に合わないけど」。
もともと高校も自腹(親の援助なし)で卒業する根性のある
青年です。しかも夜の職業ではなく、ちゃんと昼の職について
全日制高校の学業を修めた彼です。大学進学にも、当然、自腹で
浪人、受験になります。でも彼が社会の甘い誘惑に負けるとは
思えません。


専攻は「情報処理」系。今の中途半端な知識では納得できない、
とのこと。しかも「情報処理系の先生になりたい」そうです。
だから専門学校ではなく、4年制の大学が目標なのです。
単に情報処理の勉強を楽しむだけでなく、その先の職業まで
想定していることに、私は本当に感心しました。


上長は「今辞められちゃ困る〜」と言って彼を放しませんが、
契約違反にならない程度にストを起こせ、と彼に薦めましたw
一サラリーマンとして、私は最低かもしれません(笑)
でも、一日でも早く勉強を始めたい彼の立場を考えれば
当然のアドバイスだと思っています(本当に最低w)


ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)


本当のところは分かりませんが、
この本が彼を変えました。その本を薦めたのは私です。
そう思って笑うことにしませんか?
(というか、梅田さんは既にもっともっと多くの人に影響して
 いらっしゃいますが)
同じ会社でどんどん出世していく彼を見たかった気もします
が、彼の選んだ進路を、私は嬉しく思っています。
情報処理系の先生…常に時代の先端を見詰めていなければ
なれませんね。その厳しさを分かっているでしょうか、彼はw
それでも応援したいと思います。そして
梅田さん、本当にありがとうございました。