初デートの失態

これは私の友人の実話をもとに再構成した現在進行形の物語です


もともとゲーセンには興味の無い友人χ。
ギャンブラーと同僚の待つ居酒屋に駆け足で向かった。
「1月の給料日あとに、今度こそ一緒に行きましょうね」
そんな優しいギャンブラーの言葉で、一年を締め括った。


明けて一月、約束通り、二人はゲーセンに行った。
初デートでゲーセン直行?
…まぁいいや。本人がそれでいいというのだから友人としては
見守ろう。


が、やはり普通ではない結果が待っていた。


ギャンブラーが、なんとゲームで2万円も使いこむ大失態。
「すみません、χさん。もうχさんと遊んであげられなくなりました」
開いた口がふさがらない友人χ。


友人χの話を聞いていた私ともう一人の友人Nも思わずあんぐり。
それってアリ?


しかし友人χは諦めなかった。
「また行こうよ」
渋るギャンブラー。幸い、ゲーム慣れしていなかった友人χの出費は少なかった。
「分かりました。でも来月でいいですか?」
「いいよ、いいよ。じゃ、約束ね」


もちろんもっと仲良しになりたい友人χではあったが、同じ会社ということもあり
顔は何度か見ることができた。
大好きな、あの屈託のない笑顔。
それが自分に向けられるうちは、ギャンブラーのギャンブラーたる悪癖も
大目にみようと思える友人χだった。


(続)