思い違い

転職の一番のきっかけは、
行きたい土地で、就きたい職業に求人が出たから。
そして内定をもらえたから。


でも、その背景には
もう今の仕事は続けたくないという切実な想いがあって
後押しした。
そう、切実な。


それは、そう、社会倫理に背く仕事で
どんなに訴えても聞いてもらえなかったとか、そういうこと。


辞めると決まっても、今の課でも部でも本部でも
送別会とか解散会とかの話題も出ないし、
部長に限っては、私の辞める日も知らなかったし。


まあ、そんなもんよね、私なんてさ。
と思ってた。


でも、他の部署の人たちや、かつての上司たちが
送別会を開いてくれて、記念品や花束を用意してくれて
「やりたい仕事に就けて良かったね」


彼らの笑顔や、時々涙なんかを見ると、私はもっと
こういう人たちを頼れば良かったのかな、と思う。


自分は役立たずで、誰からも嫌われてるから左遷されるんだ
なんてのは、極端すぎる勘違いだった、と。


そんなふうに思いながら私が働いていたなんて知ったら、
この人たちをどんなに悲しませるんだろう。。


今の部署は確かに腐っていた。
客観視して、周囲の評価もようやく耳に入ってきて
やっと確信を持てたことだけど。


それでも、私はこんなふうに転職することは全く後悔しない。
このタイミングでやりたいことへと舵を切れるのは
こんな思い違いですら、ファクターだと思うから。


思い違いだったと知れて、かえって安心出来たから。


蛇足
なんだか、また文学を書きたくなってきた