黒子でほんとにいいの?

10月に入ってすぐ、無謀もしくは嫌がらせのノルマが課せられた。
もうこれは私たちの部署を切り離したいがための口実にしか見えない。
ぼんやり、そんなことを考えていた。この波で私はどこへ流れ着くのかと。


だけどぼんやり、このノルマをクリアする方法を思いついた。
作業者はたぶん死ぬほど大変だけど、不可能じゃない。
不可能を可能にする方法を私は知っている。


そうやって、9月に無理矢理拠点を移った。物理的にだけでなく、ある程度
仕事ができる状況を作って。哀しいかな、それを陰で操っていたのが私
であることはバレバレだった。もう「陰」なんてもんじゃなく、まさに
「ここなっつが引越しをやった」と名指しされるほど。


今回の嫌がらせは…。できると思ったから、また陰で糸を引いている。
だけどまた、これは「ここなっつが」と誰にもバレている。そりゃそうだ。
一人一人を回って「あなたは今の仕事を引き継いで、こういう役割をしたら?」
と囁いているのだから。もちろん命令権はヒラ社員の私には無い。だから
全員が「私にこういう仕事をさせてください」と上司に申し出たくなるように
過去や長所をくすぐっているのだ。
現に一人、生産管理役からディレクター役へと異動が実現した。


・・・。こんな黒子をやっていて。たぶん、もう少し頑張れば
嫌がらせは「嫌がらせ」でなくなる。発令した人物への「嫌がらせ」返しだ。
だけど、こんなことをしていたら。。 私は死ぬかもしれない。
飛び出そうとしていく私を、もう一人の私が必死で止めている。
そんなことをしても得にはならないよ。ちっとも楽しくないんだよ。
黒子はやめて。本当に陰になりたい。