100年インタビュー羽生善治

最初の15分を見逃した。というのも、衛星チューナーのテレビアンテナを
パソコンに付け替えていたのを忘れていたから。
画面に「アンテナを設定してください」と出て、慌ててケーブルを付け替えた
が、15分は見逃した。私は15分遅刻が得意らしい。


観初めてすぐ感じたのが「羽生さんって、ドライ」。
もうすこし、ふんわりしたイメージだったから、こんなにドライなのには
驚いた。仕事上、ドライな人は嫌いじゃない。


「羽生さんには勉強している時間なんか無いから、あの人は実戦で勉強する」
とは大盤解説のときの藤井棋士の言葉。なんと、本当にそうらしい。
「忙しいから」という理由ではなかったけど、机上でする勉強は実戦と違って
緊張感もなく「待った」もできるから、本当に「真剣に」なる実戦の方が
勉強になる、とのこと。


インタビューもなんだか羽生さんが話しやすい、羽生さん向けの内容だなぁ
という印象を受けたのだが、最後の質問に対する羽生さんの答えは意外だった。
インタビュアーも咀嚼できません、って顔してた。
「才能とは何ですか?」
「継続することです」
普通、世間一般で言われるのと、正反対と言ってもいいような答え。
そうきたか、と思った。


羽生さんのそんな意味深な答えを、どう咀嚼したものかと思うが、
私なりに。継続とは続けること。続けられるのは「好き」だということ。
好きなこと(例えば将棋に勝つために研究を続けること)は楽しいことであって
一般的には「努力」と呼ばれるが、やってる本人は「努力」ほど苦しくない。
もちろん負ければ悔しいし苦しい場面もあるだろうけど、「好き」だと
それを乗り越えることすら「楽しみ」になってしまう。天から生まれながらに
与えられるものではなく、好きだから苦しくても続けていける、それが才能。
そんな咀嚼でいいですか?


以前も「プロフェッショナル仕事の流儀(長いので以下略)」で
「プロとは何ですか」の質問に対して羽生さんは「常にプロであると意識
し続けること」と答えていた。森内さんの答えとは全く違っていた。
私は仕事にプロ意識はあるが、例えばいやなことがあれば大盤解説に行って
気分を変えたりする。そんなときは自分の専門分野なんかどうでもいいと思う。
でも羽生さんは「常にプロ意識」を持っているのだという。
ふーむ。
やっぱり「三度の飯より将棋が好き」なんじゃないかな、すばぬけて。
そんな印象を受けた90分-15分だった。