キャリアウーマンのためのコンペ必勝法(3/3)

4.プレゼン
では、いよいよプレゼンに臨みます。


■プレゼンテーション
プレゼンは「ショー」だと勘違いする人が居ます。
プレゼンは得意先とのキャッチボールです。いくら魅力的な言葉を
羅列して得意先を惹きつけたとしても、それを自分のショーだと
思い込まないでください。得意先のちょっとした「退き」を
見逃してしまいます。そしてこれが「失敗」の直接的原因に
なることは稀ではありません。


・まず名乗る
プレゼン第一声が自分であれば当然のこと。仮に挨拶などを営業・上司が
して「では担当の○○より詳細を」と振られた場合でも、まず
自分が何者か名乗りましょう。上司が「企画1課の担当ここなっつより
説明します」と言ったとしても、始める前に
企画1課で主にウェブコンテンツの企画を担当しておりますここなっつです
というように。プレゼン先によってウェブコンテンツ担当だろうが
商品開発担当であろうが、内容に合わせて自分のプロ領域を変えて
良いでしょう。ようは「その分野のプロである」という印象付けが
大切です。


・時間配分を確認
たいていは得意先から「何時まで」のように指定がありますが、無い
場合は「初めの50分はこちらからの説明、残りの10分を質疑応答の
時間としたいですが、よろしいですか?」のように、時間を決めましょう。
場合によっては得意先が「質疑応答はその都度させてくれ」と
指示されますが、そういう場合は「では60分、途中で質問があれば
して頂くということで進めます」と確認しましょう。


時間配分にこだわるのは、提案内容をすべて相手に伝えるためです。
そのためのストーリー作りを用意してきているのです。最後に慌ただしく
なる・時間が余る、などはプレゼンのプロとしてあるまじき行為です。


・プレゼン中は相手の様子を見る
緊張のあまり、つい視線が資料もしくはデモ版にいきがちですが、
ここは踏ん張りどころ、聞き手の態度を常に見ましょう。
資料は手順通りに進んでいるか確認の程度で見るように。
説明に対して得意先は表情を変えたか?理解できた様子か?あるいは
好印象or悪印象を持った様子か?話し方が早すぎるか?
そして相手は資料をみているだろうか、自分の顔の方を見ているだろうか?
プレゼンの最中、聞き手は何度か資料から目を離し、こちらを見る
ことがあります。そのときには視線が合うのがベストです。
また聞き手を見ていれば、自然と声が聞き手に向きます。


・相手の様子伺いでメリハリを
聞き手の様子を見ていると、そのまま進めていいのか、あるいは
疑問を持っているかが分かります。もしよく理解していないように
見えたら、たとえ質疑応答はあとで、と決めておいても
「ここまでのご説明で、特に何かありましたでしょうか?」と
聞きましょう。このタイミングが始めてからの10分です
相手が分かっているようならそのまま「では」と進めましょう。
最初の10分は聞き手も集中可能、しかし15分を過ぎると注意が
散漫になり始めます。そのために聞き手に休み時間をあげる
と思ってください。
同様に、同じ内容の説明が30分に及ぶ場合は、始めてから20分経った
ところで「よろしいですか?」などの言葉をかけます。
お互いが顔を見合わせ、頷くだけでも30秒〜1分近く休憩ができます。


同様に、資料は本来10分刻みで作っています。
章が変わるタイミングは聞き手にとって休憩時間です。


・お茶がだされるとき
お茶というのはプレゼンが始まってから出されます。
自分が話をしている場合でも、自分にお茶が置かれた場合は、
一瞬、言葉を切ってお茶を出してくれた人に軽く会釈をしましょう。
自分が喋っておらず、特に得意先も大切な話をしていないときは
小さい声で「ありがとうございます」を言いましょう。
これは「女性ならでは気付く、こまかい心遣い」として受け取られます。
厳しいかな、コンペのような場所ではこういうのが「女性の武器」です。


・時間が足りなくなりそうなとき
思いがけず得意先から質問が入った、思ったより自分の話す時間が長い、
あるいはコンペを始める前にプレゼン時間を削られた、等の理由で
予定してたストーリー通りに進まない場合があります。
多少の時間の遅れは、早口でのりきりましょう。(1/3)でも触れた通り、
自分が早口で話すときの時間が分かっていれば、この時間は
早口でカバーできるのか、無理なのかが判断できます。
早口でもカバーできない、と判断したら潔く項目の一部を簡略化しましょう。
しかしこのとき、ページをまるごと割愛してはいけません。
このページでは何を提案したかったのか、概要を説明します。
その上で「時間が押しているようですので詳細はのちほどご確認ください」。
割愛とはそもそも不要なページが資料にあるように思われてしまいます。


■質疑応答
コンペはたいてい一度だけです。質疑応答時間は、唯一、落札前の
得意先とのコミュニケーションの機会です。最大限に活かしましょう。


・意味不明な質問を受けたとき
得意先の質問の意味、意図が分からない場合があります。
それは多くの場合、業界用語の解釈の差であったりします。
なんとなくこうだろう、と勝手な解釈をして返答せずに、自分の言葉に
置き換えて「こういう内容の質問ですか?」と確認してから答えましょう。
回答後に「答えになっていますでしょうか?」と聞いてもOKです。
これは女性に限り許される「ゆるさ」です。武器にしましょう。


・得意先の苦笑に便乗しない
プレゼンが終了すると、緊張した空気からふっと解かれます。
それは聞き手も同じです。プレゼン内容を聞いて「この会社はうちの味方」
と思ってしまっている場合、得意先もつい自社の弱点や愚痴を
漏らしてしまうことがあります。本気で愚痴を言っていれば勘違い
しないでしょうが、相手は笑いながら、つまり苦笑しながら話す
場合があります。話している内容をよく聞きましょう。相手が
笑っているからといって、それは一緒になって笑ってはいけないことの方が
よほど多いです。得意先の苦笑に便乗して、自分まで笑ってしまわないこと。


・「売り」を加筆させる
(2/3)でも触れたように、こちらから一番提案したい内容は
得意先担当者に自ら資料に加筆させるのが効果的です。
質疑応答においてもこのチャンスは巡ってきます。ここは「売り」と
思う内容を質問されたときは、できるだけ用意したキャッチコピーを
使って自社の強みをアピールしましょう。
場合によっては「資料には書いてありませんが、実は・・・」といった
話術を巧みに使って、無理やり得意先に加筆させる手段もあります。
但し、これも賭けです。自信がなければ避けましょう。


・得意先がうなずいたら笑顔
質疑応答で得意先が理解した様子で、少しでも笑顔をみせたなら、
こちらもすかさず笑顔を返しましょう。
不本意ながら、これも「女性ならでは」の強みです。女性が笑うと
得意先は気を許します。それは得意先担当者が女性であっても同様です。
プレゼンの〆括りは笑顔。すると内容はさておき、得意先は好印象で
時間を終了。うまくすればそのまま喫茶コーナーに連れて行かれ、
更なるプレゼンを要求される場合もあります。
喫茶コーナーでは、ざっくばらんに話しましょう。
しかし「必ず得意先の立場に立った発言をすること」「苦笑に便乗しない」
は忘れないでください。ときには得意先の愚痴を「大変ですね」と
親身に聞き、「それも一緒に解決できる内容を考えてみます」くらい
言っておくと良いでしょう。


・失敗したとき
プレゼンの結果、いくら上記の努力をしても失敗することもあります。
例えばオリエンで求められたはずの資料を用意していなかった、
得意先の一番の課題に対する明白な答えを用意し忘れた、等です。
このときは素直に、心の底から謝り、最敬礼する勢いで頭を下げましょう。
オリエンに自分が出席しておらず、出席した者の伝え忘れであっても
「聞いていませんでした」等の言い訳は、得意先にとっては
見苦しいだけです。その上、自社の連絡不足を露呈させる愚かな行為です。
かといってコンペを諦めるのはNG。
不足した部分はすぐに資料だけ送る意志を伝えましょう。
そのときには「いつまでに」も決めて即答しておきましょう。
「明日までに」が理想的であることは言うまでもありません。


おわりに
ここで記した事柄はすべてコンペに勝つための技術です。
本当に勝つには相当の内容がついてこなければ意味がありません。
それには普段からの自分のプロとしての意識、勉強、発想が必要です。
内容と技術、両法が伴って「勝ち」得るということを忘れずに。



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