「振り込めない詐欺」ふたたび

父がgoogleの書籍アーカイヴがアメリカの裁判で勝訴した件について
日本の「ネット掲載反対派」がどう反応したかを知りたがっている、
ということが、昨日深夜、電話をしていて分かりました。
父はたぶん、id:keitabando氏等の意見を聞きたいようです。


が、keitabando氏のMy Open Archiveの主旨と
図書館にある本を全部デジタル化してネットに載せちゃうぜ、
というのには若干意味のずれがあり、ネット上でkeitabando氏に
今回の感想を書いてくれというのは無理がある、という話をしました。
それに父は納得してくれたようです。


でも日本の著作権保持者はどうなの?父曰く
「お前は自分の本が全ページネットにあげられて平気なのか?」
結果的には同じですが、無断でやられるのは不愉快、と言われれば
不愉快ですね。ネットに掲載された段階で教えてね♪というのが
本心ではあります。


「お前の本なんかはネットで読まれた方がいいんだろ?」
ええ、父、その通りです。
あんな本、ネットで一度読めばもう買わないでしょうね。
ネットで片付くものですよ。
ですが一方で、こんな事実もあるのです。
私は出版する前、その作品をネットで公開していました。
にも関わらず、出版が決まったらファンは即座に予約してくれた。
実際はね、こっちの流れなんですよ。


id:teraponとひっそり2人だけの丸の内シュッポもどきをしたとき、
私の梅田さん好きを熟知(爆)しているteraponと
「ウェブブック『生きるための水が湧くような思考』」が話題になりました。
梅田さんがなぜ「ウェブブック」という形での出版を決行したかという
理由は知りつつも、病気でPCの前に長時間向かっているのが
苦しい私は、やっぱり文庫でも出して欲しかった、と話しました。
するとterapon、
「あれはいくらお金がかかろうと、全文プリントアウトして読むべきです」


考えてみれば、これは梅田さんの願いを否定するものでも何でもありません。
ネットは「誰でも」「検索」「いつでも」「どこでも」「無料(一部)」が特長。
「私が」梅田さんの名前で「検索してウェブブックを知り」
「好きな時間に」「自宅で」『生きるための水が湧くような思考』を
読めればいいのです。それが私の個人的な事情でプリントアウトして
布団の中で読まれようと。
「プリントアウトじゃたまらん、文庫化してくれ」という意見が殺到すれば
梅田さんはあるいは文庫化も許可するかもしれません。


そういうことなんです。
ネットで長文を読むのは大変。形式がPDFであろうと。
それがプリントアウトされてコピーされて??
それを商売にする悪徳業者が出ないとは言い切れません。それは事実。
そのへんが問題であることは認識しています。


父はdoriko氏が無料で音楽データを配信しているにも関わらず、
この春CDが出ることについても言及していました。
「あれだって、ニコニコ動画で人気が出たからCDが出るんだろ?」
doriko氏に限って言えば、確かに「埋もれた才能がネットで評価」なんて
もてはやされた典型でしょう。この頃「振り込めない詐欺」という
言葉が初音ミクツールだけでなく、様々なコンテンツ、アプリケーションに
対して使われ始めました。
日本人は「お金」で評価したがるんです。


当時からひろゆき氏も「日本の、『著作権』を振り回している人ってなに?」
みたいなブログを書かれてます。
ニコニコ動画DRMがかかっていて、コンテンツダウンロードができません。
「誰でも」「検索」「いつでも」「どこでも」好きな動画が探せます。
それが芸術物であり、媒体であれば欲しい人は媒体を買います。
(過去の)ニュースであればより多くの人が知ればいいじゃないですか。*1

でもMADはダメ。だからニコニコ動画はMADは申請がなくても自主的に
消去しています。


ここがYouTubegoogle)よりニコニコ動画が一歩先に行ってる、と私が
思うところ(のたったひとつ♪)です。


doriko氏の最新曲「Winter Alice」は動画のクオリティもかなりのもの。
ニコニコ動画のコメントには「絵本にして欲しい」というものすら
あります。無料だからって、何度もネットにアクセスするのは面倒です。
本当に好きなものは、金出してもいいからアナログで欲しい!というニーズは
間違いなく存在するのです。
動画はdoriko氏に著作権が無いのでdoriko氏は提供していませんが、楽曲は
「CDに入るよ」と宣言しつつ、mp3を難関を突破(爆)*2してでもネット上に
公開しました。


既存の著作権がどういう目的で作られたか考え直す時期でしょう。
ネット社会になったらなったで、著作権の在り方は変わっていいはず。
だって著作権って、もともとただの「権利」でお金そのものじゃないし。
「著作者の意向を護る」ものであれば、いいわけでしょ?
本の売り上げの数パーセントが著者に支払われるから、現在は
リアル売り上げが重要です。だったらそれを見直せばいいじゃん!*3


googleが合法的に始めちゃったから、この解決は急がれます。
googleのそういう「法律はあとからついてくる」系は強引だけど
必要悪ですね(をぃをぃw)
(個人的にgoogleのビジネスには私情が持ち込まれてるところが嫌いだけど)


それと「ネットに上がったら本当に不利益なのか」という検証は、もう少し
必要だと思います。ネットに上がったら本が売れなくなる、という発想は
短絡的すぎるかと。
(小さな本屋がamazon出現によって倒産しているのは、別件だということ)

*1:新聞社の部数減少についてはまた違う解決法が必要かも・・・

*2:アクセスが多いためトラフィックがパンクし、doriko氏が契約しているプロバイダからクレームがあり
 仕方なくアップローダーにデータをあげ、そのアドレスをホームページで告知しています

*3:それが簡単じゃないのは承知してます。だから大変な問題であるということも