少年の夢と思春期

数年前の9月、ネットである少年と知り合いました。
当時彼は高校3年生。奇しくも停学をくらっている真っ最中でした。
良い子なんですよー
でも、ちょっと夜中に友達とUFO見に行って、遅くなったので
その辺にあった自転車乗って帰宅していたところ、
職質に遭っちゃったんですね(笑)
運悪く、彼は風紀委員長でした。そうでなくても停学かもだけど、
より厳しい処分を受けてました。彼の学校は進学校でした。


同郷ということもあって、歳はずいぶん離れていたのですが
チャットするようになりました。
彼からは進路相談を受けました。


私の出身校を聞くと「僕も受けてみようかな」と。
「そういう、どこの大学でもいいから、みたいな受験はやめなよ」と
笑いながらチャットしていたのですが。


3月になって、彼は合格した大学(東京の一流私立)進学を辞退しました。
「やりたいことができる学部じゃなさそう」という理由でした。
「何がしたいの?」と聞くと、「社長一人の会社でもいいから起業したい」と。
彼の受かっていた学部でも、たぶん起業しようと思えばできたと思います。
しかし浪人とか、そういう経験をするのも修行だと思ったようです。


彼の両親は当然激怒しまして、最初は勘当同然。しかし、まぁなんとか家には
置いてもらって、彼はバイトを始めました。
このとき、私はバイトには反対でした。下手に社会を見てしまうと、そのまま
そこに就職しちゃえばいいや、と思いがちです。単純に勉強時間も減るし。


やはり9月でした。久しぶりに携帯へメールしてみました。夜8時。
「すみません、今、予備校の夜間講習中です。終わったらメールします」
彼からの返信に私は驚きました。
ちゃんと通っていたんですね、自腹で予備校!


そして一浪の結果、彼は第一志望を逃したものの、第二志望の一流私立大に
合格しました。…最初の大学でも、十分難関大だったんだけどなぁ。。
「金は出さん!」と言っていた両親も許してくれたらしく、半勘当も解かれ、
学費も出してもらえることになりました。


彼が上京することになり、初めてリアルで会いました。19歳。
めちゃくちゃあどけない。こんな少年が自分の夢のために自分で進路を決めたとは!
合格のお祝いに、ちょっと良い食材を出す大人の居酒屋に連れて行きました(をぃ
「身分を証明できるものは持って来ないようにw」という命令付きでw


生牡蠣とか松阪牛とか、長野県人はあまり新鮮な状態では食べられない物を
これでもか!と御馳走。少年、何を勘違いしたのか、割り勘で払おうとする。
合格祝いで、しかも未成年の学生から、誰がお金取れますか?
カードで支払っていると、少年「かっこいいー!」と驚き。
本当は、持ち合わせが足りなくなっただけなんですけどw
「いつか、これよりいいもの、自腹で食べられるようになれ!」と激励。
「はい!」
かわいいですね。


話を聞くと、バイト先の店長がいろんな経歴の持ち主で、それこそ起業した話とか
色々勉強したそうです。ただの予備校代稼ぎで終わらせなかったんですね。偉い!


そんな将来に夢や希望を抱いて上京してきた彼が、真剣に凹んでメールしてきました。
チャットで悩みを聞いてみると…
彼女ができたというのです。同じ高校出身で既に看護師専門学校に通っている女性
でした。彼女の方が高校時代から片想いしていたらしく、告白されたのだと。
いきなり遠距離?恋愛ですが、自動車を買って毎週会いに長野へ帰っていました。
かわいくて仕方がない、大好き♪ だそうです。
ですが、その彼女が。。


大学を卒業したら絶対に長野に帰って来て、と泣くのだそうです。
いきなりの遠距離恋愛ですし、寂しかったのかもしれません。
彼にしてみれば、そんな約束できるはずありません。もしかして、いきなり
長野で起業してみてもいいかもしれないけど、そんなものは未知数。
これからいろんなことを勉強したくてたまらない彼にとって、彼女のその言葉は
足枷になりました。
「大好きだけど、そんなことを言われたら滅入る。別れなくちゃいけない?」


はい、やっと思春期ネタですね。


ずっるーい大人と化していた私は、彼に約束してあげるように言いました。
「彼女は寂しくて安心したいだけよ。今、彼女のことが好きなら、
 安心させてあげるといいよ。もしかして4年後、嘘つき呼ばわりされることに
 なるかもしれないけどね」


この時私は、もちろん彼に嘘をつけと薦めているわけですが、本当のところ、
彼女の方がどうなるか分からないと思っていました。
看護師はどこでも必要とされる職業ですし、さらに高度医療の資格を取ろうとしたら
長野県内の学校では無理でした(当時)。
長野県に居ないのは、彼女の方かもしれません。


彼は納得してチャットを終わらせました。


その後もたまに飲んだりしていたのですが、次第に少なくなり。
大学でサークルにでも入れば、それは自然な流れ。むしろ便りが無いのは良い報せ。
この春、彼は卒業したはずです。もしかしたら進学したかな?
もちろん、携帯メールで尋ねればすむことなのですが。


あれだけ自分の進路に真剣だった彼です。
こんなご時世ですが、彼なりに彼の夢を追っていると思います。
彼女とは別れたっぽい雰囲気もちょっとありますが…心配はしていません。
心の中で応援しています。