悪夢

そうでなくとも、悪夢に飛び起きる朝が多いのに、
白昼に悪夢のような出来事が。


それは一週間くらい前。その日に答えは出てたのに、
心の中に水銀を一滴たらされたような、そんな
ズシリと重い感情を私に残しました。


演劇体験の最終日でした。
長い台詞を覚えるストレスからも開放されると、晴々とした
気持ちで出掛けました。


後で知ったのですが、この体験入学を通過しないと、この
劇団には入団出来ないのだそうです。
本気で役者になりたくて、その足掛りに通った人も居たそうです。


そんな人たちに厳しい評価を下した講師が…
部屋に残ってアンケートに記入している私のところに来て
劇団での演劇継続を勧めたのです。
「すごいものを引き出してしまった」と。


寝耳に水? これで演劇から離れようとしている私には、
本来なら大変名誉な言葉が、戸惑いの極地のような
残酷な誘いに聞こえたのです。


もちろん、体をぶち壊してまともに社会生活すら送れない私に、
役者という選択肢があるはずがありません。即答と言って良い
状況で、続けない旨を伝えました。


演劇は嫌いなはずはありません。体験入学するくらいには好きです。
そして仮に、その道の素質があるとしても…


スッキリ忘れるはずの台詞が、今も頭に響いています。


何を訴えたいのか自分でもわからない。ただ、未だに
心のどこかが、ズシリと重いのです。