迷惑メール

どうもフィルターを通り抜けてやってくる迷惑メールがあるらしい。
私の携帯メールアドレスも漏れたらしく、たまにドっとやってくる。


漏れた経緯について、多少気になることがあったから
該当のセキュリティ会社に問い合わせ…というか調査依頼をした。
濡れ衣かもしれないが、もし当たらずとも遠からずであれば、
発信しているグループの足跡くらいは発見できるかも。


そんな遠い先の(ドッグイヤーでね)希望はさて置き。
迷惑メールも迷惑だと思っていると、際限なくやかましい。
ネットで調べれば同じ手口は公開されているから、腹立ち紛れの、マメな
情報提供の必要もない。


となると、若干暗い発想ではあるけど、メール文書を楽しむ、
という悪趣味を持つことは精神衛生上よろしいかもしれない。


有名な手口を例に取ると…
資産家だという女性が1億2千万円の資産を譲渡するから、受取の手続きを
してくれ、という件。
どうやらカモである「特別ゲスト」のプロフィールを読んで気に入ったから
お金をあげたくなったらしい。
仲介業者があり、彼女からのメールも転送してくるし、その業者が
大金の振込代行をしてくれる。贈与税の手続きも彼女が済ませてあるから、
1億2千万円まるまる、カモにプレゼント。


深読みする以前に、誰でも自分が「特別ゲスト」でないことは分かる。
「誰かと間違えているんだろう」なんて親切に教えようなんてのするのは
日本人の美徳につけ込んだ罠に飛んで入るようなもの。
この時点では「迷惑だなあ」と思うしかない。


そこからこれを楽しみに変えていくには発想を転換する。
まず「1億2千万」という金額。
確かに自力で稼げる人の方が少ないだろう。


しかし資産家から頂戴するにしては安すぎないだろうか。
ロト7はキャリーオーバーで8億円。
宝くじは一等は軒並み億単位の時代。こんな宝くじでも当たったような
「うまい話」のはずが、1億2千万円とはガッカリである。


彼女からのメールには
「1億2千円で第二の人生を始めてみませんか」
「ちょっと贅沢をするつもりで」
「少しこわいかもしれませんが」


そりゃ怖いですよね! たった1億2千万円で人生やり直せなんて!
ちょっと贅沢? 欲しいマンションの1部屋も買えないお値段です。
それを押し付けがましく、高級ホテルで数日過ごせる程度のお金で「贅沢でしょ」
と言って来られても、資産家が聞いて呆れる。


実在しないこの女性は、いったい自分をどれだけ過大評価しているのか。
彼女からのメールがくるたび、痛々しいを通り過ぎて笑えるようになっちゃう。
悪趣味だけど、そう乗り切ろう。ハマると楽しめないこともない。


また業者からは「資産譲渡」とある。その先のリンクを読んでないので
不明だけど、資産とはどんなものか分からない。
「負債」かもしれない。
1億2千万の負債を譲渡される… 確かに第二の人生が待っていそう!
「少しこわい」どころではなく、そうとう怖い!!


これだけ資産譲渡したがっている彼女なのに、なぜか受取の期限がある。
そしてどこの何者かも分かっていないカモと、譲渡の手続きが終了…
できるわけないでしょう。1億2千万の贈与税分、プラスでお金もらう、
出来てその程度。


品の感じられない資産家令嬢とメール交換してみたいけど、残念ながら
彼女は実在しないんだよね。



これに限らず、キャンペーンに当選したとか、誰かから資金提供があったとか
「すぐにお受け取りいただけます!」と、深夜期限でメールくるけど、
深夜や週末は、たとえネットでも振込確認のできる銀行は存在しない。
中には「振込完了したので、あとはカモ様がご確認ください」というのもあるけど、
それ、絶対に銀行口座じゃないよね。それとも海外の銀行なの?
どちらにしても、私がカモなら受け取れない、そんなネットバンクに
口座持ってないから。


実在しない資本主義社会にツッコミを入れてみても時間の無駄だけど、
迷惑メールにイラっとくるくらいなら、こんな愚かしい妄想に遊んでみるのも
悪くないかもしれない。