面倒見(自戒)

子どもの頃から、私には“変わった”友だちがいた。
クラスで、なんかハミ出してる子。


イジメられてるわけでも、特別余所余所しいとか暗いとか、
そういう類の子じゃなくて、自分の世界があって近寄り難い子。
周りはちょっと気兼ねする。


そういう空気が読めないのか、読んだ上で大丈夫と感じるのか、
一人で居るそういう子に声をかけるのは、たいてい私。


付き合ってみると、別に日常生活に支障があるわけではなく、
それを見たクラスメートも、だんだん仲良くなってくる。


高校のときは、席の近くに金髪にバッチリメイクの子が居て、
みんなは「すごい不良」が同じクラスだと、怯えたと、後から聞いた。
その子に、初日から声をかけたのも私。自己主張してるだけで
不良だとは思わなかった。
イカラーのせいで目つきがキツかったけど、声は可愛いし
笑うと周囲も楽しくなるような、コロコロケラケラ無邪気な声を上げた。


彼女の好きだったアイドルの名前は、そのまま彼女のニックネームになって、
卒業までクラスの人気者だった。
最初に声をかけた私に、「誰も話しかけてくれなくて怖かった。
声かけられたときはビビったけど、優しくてホッとした」と。


しかし、こんな私の雰囲気は、時に過剰な依存心を生む。らしい。


会社で、事業部もフロアも違う女性の先輩が、会議室に忘れ物をしていた。
それを探して届けた。


先輩は、病気でもなかったし、休職歴もなかった。
ただ、あまりに業務がキツいから、少し休むか、退社するか、考えていたらしい。
そう、先輩の、相談相手に選ばれてしまった。
親身に話を聞く私の横で同僚は、「どうしてあなたが真面目に取り合うの?」と
少し怒っていた。
「他人の世話をやいてる場合じゃないでしょう?」


この先輩とは、すぐにビルが変わってしまったから深い付き合いにはならなかった。
しかし、それですまないケースが、あった。


過剰な依存。それはすぐに気付いて、ほかの同僚にも救いを求めたけど、
その人の依存は日増しに強まり、数ヶ月で重荷になった。
上司にも相談した。取り合うな、と真剣に忠告してくれる人もいた。


しかしその女性の依存は、もう私無しでは会社に居られないほどになって、
私があまり話さなくなると、裏切りか何かと感じるらしく、それからは
私が何か言うと、全て否定・攻撃だと捉えて激しく睨んできた。
「ハナが続いているよね、花粉症を疑ってもいいんじゃない?」
それだけで、ものすごい睨み。しかも、この類の会話が怖くて、
会社に行けない、と上司に私の異動を願い出たのだ。


結局、彼女の依存は今に始まったことではないと、異動したのは
彼女のほうだけど。


私は、自分が思う以上に、世話好きに見えるらしい。
いかにも誰かにすがりついて、弱さの言い訳にしたいような人には
声をかけないのが賢明なんだろうな。
その人の生涯に責任が持てないのなら。