読書の夏2015

人生には何度かモテ期があるそうですが、
わたしにも、人生二度目の 読書期 がきたようです。


初めてきたのは15年ほど前。
駅の階段でコケてお尻で滑り落ち、尾骨を骨折したとき。
ギブスもはめられない、というので、手術もせずに自然治癒を目指していました。
立って歩くのも困難、ベッドに転がって暇を持て余していたところ、
コンビニで偶然手にとったのが、綾辻行人の「黒猫館の殺人」でした。


黒猫館の殺人 (講談社文庫)

黒猫館の殺人 (講談社文庫)


これが綾辻氏の「館シリーズ」というのの6作目。
どハマりました。


それまで本格ミステリには特段興味はなかったのですが、
チャチでセンチメンタルな動機が殺人になるドラマとは違い、
難問なクイズを仕掛けられたような、謎解きが楽しいジャンルだと
初めて知ったのです。


本格ミステリは、作者も読者に謎解きを挑発するようで。
読者が「読む」だけでは得られない情報、例えば一言も発しない双子が居る、とか
身体障がい者ではあるけど、擬似身体で補って健常者と差異がないとか、
そういう情報は文章で表現しないと、「フェアじゃない」というルールがあるようです。


謎解きがメインだけど、小説である以上、人間性も描かれないといけないようで、
最近の本格ミステリには、かなり魅力的な登場人物が出てきます。
毒舌な執事とか。


謎解きはディナーのあとで (小学館文庫)

謎解きはディナーのあとで (小学館文庫)



綾辻行人の作品はそこで一気読みし、それからミステリをあちこち読んで、
ハリーポッターなんかのブームもあって、深夜までネットしたあと
読書で寝落ち…という、まさに第一期読書期であったのです。


読書期が去ったのは、過労で倒れたとき。
読書は嫌いではなかったけど、吐き気がして無理になりました。


数年間、読書はまったくというほどしませんでした。


しかし、電子書籍を購入するようになり、ミステリセットなるもので
安く入手してから、またハマりました。やはり火付けはミステリ。


現在、一気読みしそうな勢いで読んでいるのは
篠田真由美の「建築探偵桜井京介の事件簿」シリーズ。


未明の家 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)

未明の家 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)


その名の通り、主人公は桜井京介なのですが、私が感じたのと同様、
多くのファンが、桜井京介のアシスタントの少年、蒼に惹かれるらしく、
蒼のスピンオフ作品もあるのです。


angels 天使たちの長い夜 (講談社文庫)

angels 天使たちの長い夜 (講談社文庫)


綾辻全シリーズ、そして桜井京介シリーズ、どちらも
「あり得ない」という視点で読んだら、たぶん全く面白くない。
むしろ文学と割り切って、作者と謎解きゲームをしていると思ったら良いです。


ミステリ界でも、ベタでガチガチと言われる綾辻作品のファンである私は
もうかなり、疑り深いというか、少しの違和感も許さないので
どんでん返しのラストに驚く!ということは無くなりました。


それでも、最後の最後まで犯人が特定できないと、
作者にやられたなぁ! と愉しい余韻にひたれるのです。


まるっきり油断していたのは、映画にもなった「王妃の館」。
途中、散々ミステリファンに挑発的な文章があったのに、
まさか、その挑発通り、ミステリファンが呆然となるオチは想像だにしなかった。
このオチは、ミステリ的にはアンフェアだと思うけど。


王妃の館(上) (王妃の館) (集英社文庫)

王妃の館(上) (王妃の館) (集英社文庫)


そんなわけで、暑くて外出する気にもならないこの夏、
血みどろなミステリを一日一冊の勢いで読みまくっています。


夏休み明けの寝不足が怖い。w