熊野大社のご神体の話

カテゴリーでは「えせキュレーター」とか書いてるけど、私、
本当に学芸員の資格を持っているんですわ。
でも資格があるだけで、特定の専門について研究・整理してなければ
学芸員とは呼べませんね。というわけで「えせ」なんです。


仕事柄なのか、資格を持っているからそういう仕事を回されたのか、
博物館・美術館の仕事はいっぱいやりました。
博物館・美術館の職員だからといって学芸員の資格を持っている人は
少ないです。そういう人たちは資格を得たいと思っているので
学芸員の資格を持っている」というだけで信頼感というか、
依存感というか、そういうものを感じます。


某美術館で展示用の動画番組の打ち合わせをしていたとき。
配属2年目くらいの学芸員が、番組のナレーション原稿を書いてきました。
ナレーション原稿ってのも特殊で、やっぱりノウハウがないと書けない
んですが。美術館で2名しか居ないうちの一人だったので頑張ったんでしょう。
しかし、やっぱり彼の原稿は使えない。
具体的にいうと、情報量が多すぎ。動画番組でそれを全部盛り込んだら
観ててナレーションうるさ過ぎ、って感じです。そんなわけで
ダメ出しをくらってました。


そのとき私が「熊野のご神体は那智の大滝なんです。だからこの絵画に
しても、滝は神々しいものとして描いているし、その点を注目して
閲覧されたいわけです。そういう本質みたいなことにだけ焦点を絞って
言葉を削ったらいかがですか?」と言いました。偉そうに(爆)


その晩、他の職員の方々や私の上司と夕食に出かけたのですが、
学芸員の彼は原稿直しのために来ませんでした。
職員の方曰く
「やっぱり東京の学芸員は違う。何でも知ってる。
 僕は勉強が足りない」
と落ち込んでいると言うのです。


え?( ̄-  ̄ )


「私が那智の滝について知ってたのは、2週間前に偶然、旅行したから
 なんですけど」 ( ̄-  ̄ )シレッ


その場に居た全員が「まぢで?!」と驚いたのはもちろんですw
「私もここなっつがそんなこと知ってるのはすごいと思って聞いてた」
と上司。「うまいじゃんw」と笑うエグゼクティブ・プロデューサー。
職員の方もたばこをふかして一言
「そのことは黙ってましょ。あいつにはいい勉強になるからw」


まぁこういうことがあるから、キュレーターはアンテナ高く張っておいた
ほうがいいんですよw 偉そうに(爆)