いもうとの手
どんなに振り払おうと思っても、どうしても抜け出せない
そんな悲しみが時には襲いかかってきます。
今の私は、大切な人を失うかもしれない不安でいっぱい。
いもうとの就職が決まって、喜んでいた直後のことです。
突然、私の前から、愛する人が居なくなる可能性を
知らされました。
いもうとにはいもうとの喜びも悲しみもあり、私は
彼女の前では、明るくありたいと思っていました。
だけど、忘れようと思っても、涙はこみ上げてきます。
とつぜん、いもうとが私の腕を強く握ってくれました。
私も、そんないもうとの手の上に、掌をのせました。
彼女の手は温かくて、私は自分の手が冷たいことに気付きました。
いもうとがずっとずっと、私の腕を握ってくれて、私は
そんないもうとの気持ちが嬉しくて、もう泣くのはやめようと思ったのに、
今度はそのいもうとの存在が嬉しくて、また涙がこみ上げて
しまいました。
私の涙が止まるまで、いもうとはずっとそうしていてくれました。
手を離す頃には、私の手はほかほかになっていました。
涙が出るうちは、私はまだ幸せなのだと思います。
こんな優しいいもうとを、ずっと大切にしたいと思います。
彼女に会えたことを、感謝し続けたいと思います。