夢をみる

先週、母が実家の土地を売る気でいるらしいことを知った。


わざわざ考えてみなくとも、後継ぎのいない家、そうなることは必至。
でも、かなりショックを受けた。


昔はともかく、今はこれらの土地があることで、母の実家はそこそこ資産家。
しかし姉妹三人で、そのうち下二人が県外へ出て、それぞれ家を持ったから、
この資産も贈与税という悩みの種に。凹。


実家は…辺鄙な田舎ならともかく、県庁所在の地方都市の
幹線道路近くの住宅街であるのだから、デカい!と言わざるを得ない。
南には低木に囲まれた芝生の庭があり、私が子どもの頃はブランコを置き、
兄弟3人が裸足で走り回った。絵に描いたような邸宅。
従姉妹は庭に集まる蝉の自由研究で、県教委から表彰されたとか。


門から家の入口までは石畳の通路があり、途中で曲がっていたため、
表通りから家は見えない造りになっていた。


その通路の脇には池があり、錦鯉が飼われていた。
朝晩餌をやるのは、弟Aの役目だった。


母屋は5LDK+S。ほかに旧母屋があって、そちらは3部屋。
旧母屋の和室は、襖を開けると何十畳にもなる大広間。
葬祭のときに何十人も親戚が集まったけど、全員が着席して食事できた。
そして旧母屋の一階は大きな納戸というか?
外車が3台は停められそうな大きさ。朝になると、祖父がその引戸を全部開けて
収穫した野菜やら何やら、いろいろ置いていた。
梁からブランコが吊ってあって、雨の日、子どもはここで遊ぶ。


庭には大きな桜があり、そのてっぺんは、表通りからも見えた。


母屋の屋上には、さらに櫓があって、広さは10畳以上?
夏にはそこに上がって、花火を見ながら宴会。


そんな思い出までいっぱいの家。人手に渡るのは寂しい。
土地は広いゆえに分断されるかもしれないし、桜も伐られるだろう。


買い取りたい。
買って、私が移住してしまったらどうだろう?
広さと桜を活かして、商用スペースにしたらどうだろう?
旧母屋をリフォームしたら、味のある空間になるのでは?


都会と違い、専門店ではやっていけない。
なにを業にすれば維持できるか?


急にそんな夢を見始めた。
アトリエをやれたら良いけど、地方都市では無理だ。
「好き」で食べる手段はないか。


こういう夢をみると、叶わないときの後悔は凄まじい。
もっと早くに、具体化しておけば良かったのだと。