社長の言葉
社員を集めて、企業方針を説明していた社長。
予定していた時間まで、まだ数分あるからと、急に関係のない話を始めた。
そのせいで、予定を超過したのだけど(笑
アウシュビッツで生き残った人たちの7割が、神経を病んでいた。
しかし3割の人は、あの苦境にあって、病むことはなかった。
なぜか。
調べた学者によると、その人たちは、苦境にある理由をしっていた。
その上で、決して希望を捨てなかった。
「アウシュビッツと比べるほどの苦境に私たちは立っているわけではないけれど、
希望を捨てないでください。」
なぜこんな話をするんだろう。 私がストレスでギリギリになってるのを
知ってるわけでもないだろうに…
それから、キレそうになるとき、アウシュビッツに想いを馳せる。
仲間が何人も連れ出され、帰って来ない。そんな現実を目の当たりに、
それでも希望を持てたのだろうか?
辛くなかったはずはない。身体も、心も。
それでも、信じたんだろうか、こんな苦境からいつか抜け出せると。
アウシュビッツという究極の不条理と比べたら、大概は苦境などとは言えない。
折れる自分が恥ずかしくなる。
社長の言葉から数週間。私の環境は少し変わった。
たぶん周囲からは、変わったと呼べないほどの変化。
でもそれは、私には恐怖で震えるような変化だった。
助かった、と思う表層意識とは裏腹に、潜在意識ははっきり恐怖を覚えて
体調をこれでもか、というほどに崩した。
表層意識も、意識せずにはいられなくなった、恐怖。
これは救いの手だったはず、ですね、社長?
ならば私は、ここから救われなければいけない。