美徳のウソ

きっと、みんな感じてるけど、呑み込んでる日本人のウソ美徳。


上司には逆らわず、機嫌を損ねるな。
本なんかには
「自分の手柄は上司の手柄、上司の不始末は自分の不始末」
なんて書かれてる。


それは確かに、上司にとっては嬉しいだろうけど、
それで自分を評価してくれる上司なんか、ほとんど居ない。
周囲やもっと上の上司には、そんな活躍は絶対に見えない。


むしろ、昔からの格言に従え
「情けは人の為ならず」。


入社3年目くらいのとき、1つ下に、会社に遊びに来る後輩が居た。
遅刻して来て、ノートパソコンでゲーム三昧。
飽きると外出と言って茶店かデパートに行ってしまう。
企画書を任せたが提出前日まで手を着けず、私が徹夜で作った。


そんな彼女の査定は、なぜか私のみならず、さらに先輩たちと同じ。
企画書の出来栄えが良かったから、と。


先輩たちは怒り狂い、ちゃんと見ていない上司にではなく
矛先は彼女に向いた…


上司は、見ているようで、見えていない。
きっと私だけでなく、日本企業のほとんどがそうじゃないかと思うのは、
ストレス解消本に書かれてるのに、上司とのトラブルがとても多いから。


最近、会社の経営陣の一人と話す機会があった。
なぜ仕事がスケジュール通り進まないのか、課題を話していたら、
役員は愕然とした。


「知らなかった。まさか、某がそんな風だなんて…」


私たちが当たり前に知ってる役割分担でも、役員は知らない。
役員が知らなかったことに、私たちも驚く。


某が嘘や見栄で立ち回っていることが分かると、役員は
「ありがとう。今まで誰も話してくれなかった」と、
新しい役割分担を提示した。


たぶん、役員にとっては、誰が仕事が出来るとか関係なく、
ちゃんと仕事が進むことが重要。
嘘がバレれば配置転換するだろうし、嘘を報告したからと
その人を代わりに重用するわけでもない。


評価なんか気にしないで、仕事に真摯に向き合ってくれたら、それでいい。


損得で動くから、それがこの国の渡世術として正しかったとしても、
正しい仕事が出来ないのだと思う。


ま、ニュースを見てたらそんな渡世術に成功した話ばかりで、
実がどうなのか、ちっとも分からない。
選挙の勝利が、民意の反映なのか? 本当かなあ?